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時にたたずみ

 湯の湧き出るこの地に終の棲家を建てることになり、はじめに提案されたのは和の家でした。それは美しいけれど、何かが満たされていない。迷いの中で出会ったのが、スリランカの建築家、ジェフリー・バワーの作品集でした。

 木漏れ日のなかに佇むカンダマラホテル。巨石をそのまま取り込んだポロンタワラ・エステート・バンガロー、水に浮かぶブルー・ウォーター・ホテル。彼の仕事はホテルばかりではなく邸宅やカフェもあります。私が目にしたのは、それを写した写真家の目を通したものということになります。しかしそれは、自然への慈しみと共感に満ちて、心が解き放たれるようなやすらぎに満ちていました。

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 いつか訪れてみたいと思いつつ、ためらう気持ちもあり、それはこの先の事と決めました。

バワーは「建築を言語で語ることは不可能」と作品について多くを語らなかったようです。

 

 家の一隅を小さな喫茶室にすることを思いついた時、バワーへのオマージュを込めて、訪れる人がゆったりとした時を味わい、流れる時にたたずむ、そんな空間を作りたいと思いました。

湯河原の奥地ですが、どうぞお立ち寄りください。

 

 時と戯れに。

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